シリーズ第1回・第2回では、入居初日の基本と、ゴミ出しルールについて解説しました。第3回となる今回は、単身赴任者が特に注意すべき「騒音」に焦点を当てます。
単身赴任者が「意図せず」騒音源になりやすい理由
単身赴任者の生活時間は、一般的な生活サイクルからズレていることが少なくありません。帰宅が遅く、そこから食事、洗濯、入浴といった家事をこなすため、どうしても夜間に家事が集中しがちです。
家族と暮らしていれば、家事は日中や夕方に分散して行われることが多いものです。しかし一人暮らしでは、平日に家事をこなせる時間帯が、帰宅後の夜に限られてしまいます。本人に悪気はまったくなくても、結果として夜間や早朝に生活音が発生しやすい構造になっているのです。まずはこの構造を自覚することが、騒音トラブルを避ける第一歩になります。
単身赴任者が出しやすい騒音の具体例
夜の洗濯機・掃除機
洗濯機や掃除機は、集合住宅では特に音が響きやすい家電です。帰宅が21時、22時を過ぎてからの使用は、隣室や下の階に大きな負担をかける可能性があります。
シャワーと排水音
深夜のシャワーは、水音そのものだけでなく、給排水管を通じて響く音が隣室に伝わることがあります。特に古い建物では、排水音が響きやすい構造になっていることも少なくありません。
深夜のテレビや通話
テレビの音量はもちろんですが、見落とされがちなのが通話の音です。特に家族とのビデオ通話は、想像以上に声量が大きくなりがちです。恋しさから長時間話し込んでしまい、気づけば深夜まで会話が続いていた、というケースもあります。
玄関ドアの開閉音
帰宅・外出時のドアの開閉音、特に勢いよく閉める音は、思っている以上に響きます。深夜や早朝の出入りが多い単身赴任者は、特に注意したいポイントです。
早朝の物音
出勤が早い場合、朝の身支度の物音(洗面所の使用音、食器の音、床を歩く足音など)が、早朝に周囲へ響いてしまうこともあります。
具体的な対策
洗濯は帰宅後すぐか、朝に回す
洗濯機の使用は、深夜ではなく、帰宅直後のなるべく早い時間帯、あるいは朝の時間帯に済ませるようにしましょう。乾燥機能付きの洗濯機であれば、就寝前にタイマーをセットし、起床時に仕上がるようにするという工夫も有効です。
防振マットを敷く
洗濯機や掃除機の下に防振マットや防音シートを敷くだけで、振動音がかなり軽減されます。賃貸物件でも手軽に導入できる対策として、早めに用意しておくとよいでしょう。
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通話はイヤホンを使い、声量を意識する
家族とのビデオ通話は、イヤホンやヘッドセットを使うことで、テレビやスピーカーから響く音を防げます。あわせて、夜間は自分の声量にも意識を向け、できるだけ落ち着いたトーンで話すよう心がけましょう。
ドアはゆっくり閉める、床には物音対策を
玄関ドアはゆっくり閉める習慣をつけるだけで、開閉音の印象は大きく変わります。また、フローリングの部屋では、防音スリッパやラグを敷くことで、足音の響きを抑えられます。
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自分が「被害を受けた側」になった場合の対応
騒音は、自分が出す側になるだけでなく、逆に周囲の騒音に悩まされる側になることもあります。その場合の対応にも、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
直接相手に言いに行かない
騒音に悩まされていても、感情的になって直接相手の部屋に苦情を言いに行くのは避けたほうがよい対応です。相手が予想外に反発したり、トラブルがエスカレートしたりするリスクがあります。
管理会社を通す
騒音トラブルは、管理会社や大家を通じて対応するのが基本です。管理会社は、こうしたトラブルの仲介に慣れており、匿名性を保ちながら注意喚起をしてもらえることが一般的です。まずは管理会社に相談し、対応を依頼しましょう。
記録を残す
いつ、どのような音が、どれくらいの時間続いたかを記録しておくと、管理会社への相談や、その後の対応において客観的な材料になります。音声を録音する場合は、あくまで自分の状況把握や相談のための記録として扱い、感情的な対立の材料にしないよう注意しましょう。
数年で去る立場だからこそ、揉めずに済ませることを最優先する
単身赴任は、いずれ元の勤務地に戻ることが前提の、数年単位の生活です。この期間中に近隣トラブルを抱えてしまうと、日々の生活の快適さを大きく損なうだけでなく、限られた赴任期間の中で、余計なストレスを抱え続けることになります。
自分が出す音に配慮し、被害を受けた場合も感情的にならず適切なルートで対応する——この2つを徹底することが、数年で去る立場だからこそ実践すべき、最も現実的な近隣付き合いの姿勢です。騒音トラブルは、正しい側にいるかどうかよりも、いかに揉めずに穏便に解決できるかが、結果的に自分の生活の質を守ることにつながります。
まとめ:生活時間のズレを自覚し、揉めない工夫を重ねる
- 単身赴任者は帰宅が遅く家事が夜間に集中しやすいため、意図せず騒音源になりやすい
- 夜の洗濯機・掃除機、シャワーと排水音、深夜の通話、ドアの開閉音、早朝の物音に注意する
- 洗濯は帰宅後すぐか朝に回す、防振マットを敷く、通話はイヤホンで声量を意識するなど、具体的な対策を実践する
- 自分が被害を受けた場合は、直接相手に言いに行かず、管理会社を通し、記録を残す
- 数年で去る立場だからこそ、揉めずに済ませることを最優先する
次回は、「留守が多いからこその備え——宅配・郵便・防犯で気をつけたいこと」について解説します。
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