単身赴任が始まった当初は、「会社のために家族と離れて生活する。これはただの我慢の時間だ」と思っていました。
でもある週末、ふと思い立って赴任先から電車で1時間の温泉地に一人で出かけてみた。そこで地元の食堂に入り、地酒を飲みながら店主と他愛ない話をした。帰り道、なんとも言えない充実感があったのを今でも覚えています。
「あれ、これって……悪くないな」
家族がいたら、子どもが飽きないか気になって行けない場所。妻の好みを考えると選びにくいプラン。一人だからこそ、好きなペースで、行きたいところに、行きたいだけいられる。単身赴任の「不自由」の裏に、こんな自由があったのかと気づいた瞬間でした。
今回は、単身赴任中のプチ旅行がなぜおすすめなのか、どう楽しめばいいかを、実体験をもとにまとめます。
単身赴任のプチ旅行は「近場」だからこそ価値がある
「旅行」と聞くと、遠くまで行かなければいけない気がしますが、単身赴任者のプチ旅行は近場で十分です。むしろ近場のほうが良い。
赴任先は、地元でもなく、観光で訪れたわけでもない「第三の場所」です。その周辺には、まだ自分の知らない景色、食べ物、文化が広がっています。
「電車で1〜2時間以内」「日帰りでも十分楽しめる」——そのくらいの距離のスポットを週末に訪れるだけで、単身赴任の生活は驚くほど豊かになります。
東京赴任なら鎌倉・熱海・日光、大阪赴任なら奈良・京都・城崎、名古屋赴任なら伊勢・飛騨高山・三河……。赴任先の地理的な恩恵を活かして、「ここにいるから行ける場所」を楽しむのが単身赴任プチ旅行の醍醐味です。
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一人旅だからできること、できないこと
一人旅には独特の自由と制約があります。
一人だからできること
自分のペースで動ける
美術館で気になる作品の前に1時間立っていても誰も文句を言わない。カフェで本を読みながら2時間過ごしてもいい。旅のペースを完全に自分でコントロールできるのが一人旅の最大の魅力です。
「ちょっと渋め」な場所に行ける
家族連れではなかなか行きにくい、郷土料理の居酒屋、マニアックな博物館、早朝の神社仏閣——一人なら気兼ねなく選べます。地元の人が行く食堂に入って、地酒とおつまみだけで昼を過ごす。そんな渋い楽しみ方が一人旅ならではです。
旅のコストが読みやすい
一人分の交通費と食費だけなので、予算管理がシンプルです。「今月は少し贅沢して旅館に泊まろう」「来月は日帰りで済ませよう」と自分だけの判断で調整できます。
一人だと物足りないこと
感動を分かち合えない
絶景を見ても、おいしいものを食べても、「すごいね」と言い合える相手がいない。これは正直、一人旅の寂しさとして残ります。写真を撮って家族にLINEする、SNSに投稿する——そうやって共有の代わりにしている人も多いです。
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私が実際に行った「赴任先発のプチ旅行」
赴任先(関西)から出かけたプチ旅行をいくつか紹介します。
城崎温泉(日帰り or 1泊)
電車で約2時間。外湯めぐりが有名な温泉街で、7つの外湯を浴衣で歩いてはしごするスタイルが楽しい。地元の海産物を出す食堂で松葉ガニを食べたのは、今でも忘れられない一食です。一人でも全く違和感なく楽しめる場所でした。
伊賀上野(日帰り)
忍者と松尾芭蕉の故郷。忍者博物館で本物の忍者の実演を見て、芭蕉の生家跡を歩く。観光客も多すぎず、自分のペースで回れました。昼に食べた「伊賀牛のすき焼き定食」が予想外においしかった。
淡路島(日帰り)
明石海峡大橋を渡って淡路島へ。タマネギ料理と新鮮な海産物が有名で、海岸線を走る道の絶景が気持ちよかった。レンタカーを借りて島を一周するのが定番スタイルで、一人旅と相性抜群でした。
どの場所も「家族がいたらここには来なかっただろうな」と思えるルートを選びました。それが単身赴任のプチ旅行の醍醐味です。
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プチ旅行で得た意外な収穫
旅行の楽しさだけでなく、プチ旅行から得た思わぬ収穫がありました。
「地元」への愛着が生まれた
赴任先とその周辺を旅するうちに、「この地域、なかなか面白いじゃないか」という気持ちが育ちました。最初はただの「仮住まい」だった赴任先が、少しずつ「自分が過ごした土地」として記憶に刻まれていく感覚がありました。
帰任したあとでも、「あの温泉、また行きたいな」「あの店、家族を連れてきたい」と思えるような場所が増えていく。それは赴任がなければ絶対に生まれなかった財産です。
「一人でも楽しめる」という自信
単身赴任前は、旅行は「誰かと行くもの」という感覚が強かった。でもプチ旅行を重ねるうちに、「一人旅って思った以上に自由で楽しい」という発見がありました。
この感覚は、単身赴任が終わったあとも続いています。たまに一人で旅に出ることが生活のリフレッシュになり、夫婦の関係にも良い影響があった気がします。
話の引き出しが増えた
旅先で地元の人と話したり、珍しいものを食べたりした体験は、職場での会話の引き出しにもなります。「そういえばこの前〇〇に行ったんですが……」という話のきっかけが増え、人間関係の潤滑油になってくれました。
プチ旅行を続けるためのコツ
月に1回をルーティンにする
「気が向いたら行く」では、結局ずっと行かないまま月日が過ぎます。「月に1回、週末のどこかで近場に出かける」と決めてしまうと続けやすいです。
予算の上限を決めておく
「日帰りなら交通費・食費込みで1万円以内」「1泊なら2万円以内」といったざっくりした上限を決めておくと、家計への罪悪感なく楽しめます。
「帰省できない週末」に出かける
帰れない週末こそ、プチ旅行のチャンスです。「どうせ暇だから」ではなく、「この週末を意味ある時間にする」という発想の転換が大切です。
家族へのお土産を楽しみにする
旅先で見つけた地元のお菓子やお酒を家族へのお土産にすると、帰省時の話のネタにもなります。「先週〇〇に行ってきて、これを買ってきた」という話が、家族との会話を豊かにしてくれます。
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まとめ:単身赴任は「強制的な一人旅チャンス」でもある
単身赴任は、確かに孤独で大変な生活です。でも見方を変えれば、家族を気にせず一人で行動できる時間を与えられているということでもあります。
赴任先とその周辺には、今まで知らなかった風景や文化や食がある。それを少しずつ探索していくことが、単身赴任生活の豊かさにつながります。
「どうせ週末は暇だし」と思うなら、それはプチ旅行に出かける絶好のタイミングです。電車で1時間、日帰りでいい。まず1回、行ってみてください。きっと「単身赴任も悪くないかも」と思える体験が待っています。


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