単身赴任の長い休みを暇つぶしで埋めない——生活の形を残す連休の段取り術

健康管理・メンタル

「連休は9日あるのに、カレンダーの枠が全部白いままだ」——帰省しない長い休みを前に、こう気づく単身赴任者は少なくありません。最初はむしろ嬉しいものです。ずっと寝ていられる、誰にも予定を入れられない、読めていない本もある。

しかし、長い休みがきつくなる原因は暇そのものではありません。暇を埋めようとしているうちに、生活の形——起きる時間、食事、外出——のほうが乱れていくことです。しかも乱れる順番は決まっていて、だいたい3日目あたり、起きる時間から始まります。

今回は、9日分の予定を作る代わりに「乱れる場所だけを止める」という考え方で連休を組み立てる方法を紹介します。帰省しない長い休みを、崩さずに終えるための段取り術です。

なぜ3日目から生活のリズムが乱れるのか

最初にバラバラになるのが、起きる時間です。初日と2日目は平日の癖が残っているので、だいたい同じ時間に目が覚めます。ところが3日目には、その癖がなくなります。昼過ぎに起きた日は、洗濯も買い物も「もう今日はいいか」と後回しになり、何もしないまま夕方になります。

次に減るのが、食事の回数です。起きる時間がずれると、腹の減る時間もずれます。1日1食になり、それも菓子パンで済ませるようになります。誰かと食卓を囲む予定がないので、抜いても誰も困りません。

最後になくなるのが、外出です。食事を作らなくなると、買い物に行く用事がなくなります。用事がなければ、外に出ません。起床・食事・外出の3つが揃って乱れたまま後半を迎えると、困るのは休みが明けてからです。連休明けの月曜、朝から頭が働かず、半日ぼんやりしたまま終わります。9日休んだのに、休めた気がしません。

連休の予定は外から入ってこない——だからこそ自分で杭を打つ

自宅から通っている同僚の連休は、家族の予定で自然に埋まります。子どもの行事、親戚の集まり、義実家への訪問。本人が決めなくても、外から予定が入ってくるからです。

赴任先に一人でいる場合、これがほとんど起きません。予定を入れないのではなく、入れてくれる相手がいないのです。連休の設計を全部自分で引き受けることになる点が、単身赴任者の長い休みの特徴です。

ただし、9日分の予定を作ろうとすると、まず失敗します。埋めるのは9日全部ではなく、乱れやすい場所だけで足ります。乱れそうな地点に杭を打って、そこだけ動かないようにするイメージです。以下、連休の流れに沿って、その杭を打つ場所を紹介します。

場面×杭の組み合わせ例

朝(毎日):起きる時間だけ固定する

固定するのは起床だけにして、就寝は何時でもかまわないと決めましょう。連休中に「早寝早起き」を目標にすると、たいてい両方できずに終わります。守るルールを1つに絞れば、そのルールだけは守れます。目安は平日プラス1時間までです。2時間ずらすと、休み明けの朝にいつもの時間で起きられなくなります。

日中(1日1回):外に出る理由を先に作る

用事の中身は問いません。買い物でも、コンビニでも、ATMでもかまいません。大事なのは、出かける理由が先にあることです。散歩は理由がないので、天気が悪ければ消えます。買うものが1つでもあれば、雨でも出ることになります。

もう一つ確実なのが、返却期限のあるものを借りておく方法です。図書館で本を2冊借りれば、期限までに一度は必ず外へ出ます。買い物と違って「今日でなくてもいい」が使えないので、返す日は否応なく外出することになります。

買い物(1日分ずつ):食材をまとめ買いしない

連休中は、食材を1日分ずつしか買わないようにしてみましょう。まとめ買いのほうが効率はいいのですが、そうすると外に出る理由が3日分まとめて消えます。効率を落とすことが、そのまま外出の回数を守ることになります。

とはいえ、連休中は「今日は自分で作るかどうか」を毎回決めること自体が面倒になります。食事の段取りに不安があるなら、そこは宅配などの道具で解決してかまいません。ただし全部を宅配に寄せると、今度は外に出る理由がなくなります。半分だけ宅配にして、残りは歩いて買いに行く形がちょうどよい落としどころです。

中日(日帰り〜1泊):予約の要る遠出を1つ入れる

9日のうち、真ん中あたりの1日に予定を置きます。これは楽しむためではなく、休みを前半と後半に割るためです。9日を4日と4日に分ければ、どちらも週末に少し足した程度の長さになり、前半の終わりが見えるぶん乱れにくくなります。

行き先は近場で十分です。電車で1〜2時間の温泉地に日帰りで行くだけでも、後半の入り方が変わります。条件は1つ、予約が必要なものにすることです。予約のない予定は、前日の夜に自分で消せてしまいます。

帰省から戻った翌日(1日):何も入れない捨て日にする

帰省を組み込む場合は、置く順番で難易度が変わります。前半に帰省すると後半の一人が長く感じ、後半に帰省すると前半の6日が乱れたまま帰ることになります。9日を「前半3日・帰省3日・後半3日」に割るのが、いちばん扱いやすい形です。

そのうえで、帰ってきた翌日には何も予定を入れないでおきましょう。家族と数日過ごした後で一人の部屋に戻ると、赴任した初日に近い感覚が戻ってきます。玄関を開けた瞬間の、空気が動いていない感じです。捨て日を1日置いておけば、消す予定がないので失敗になりません。

杭を効果的に打つコツ

杭は、どれも同じ強さで打つ必要はありません。どこまで守るかを先に決めておいたほうが、途中で全部を投げ出さずに済みます。

  • 埋める範囲:9日全部ではなく、乱れやすい場所だけに絞る
  • 杭の狙い:楽しいことを増やすのではなく、乱れる場所を止める
  • 守れなかった日:取り返そうとしない。翌日また同じ時間に起きればよい

「連休を計画どおりに過ごす」ができないのが、この方法の弱点です。だからこそ杭は連休を充実させるために打つのではなく、起きる時間のような日々のリズムを1つだけ残すために打つものと位置づけ、楽しむ部分は中日の遠出に任せるという役割分担が効果的です。

連休の段取りを習慣化する3つのコツ

① アラームを手の届かない場所に置く

3日目になると、枕元のアラームは止めてそのまま寝てしまいます。スマホをテーブルの上で充電するようにしておけば、止めに行くには起き上がるしかありません。起きたら、そのままカーテンを開けましょう。それだけで、その日が「1日」として始まります。

② 予約の要るものだけを予定にする

予約のない予定は、前日の夜に自分で消せてしまいます。宿でも指定席でも、取り消しに手間がかかるものを選びましょう。キャンセルするほうが面倒になれば、当日は出かけるほうを選びます。

③ 完璧に守ろうとしない

9日のうち何日かは、起きる時間もずれますし外にも出ません。それでも問題ありません。1日も乱さないことを目指すのではなく、乱れた翌日にもう一度いつもの起床時間に戻せばいい、という前提で取り組みましょう。

まとめ:9日を埋めず、乱れる場所だけ止める

長い休みがきついのは暇だからではなく、暇を埋めようとしているうちに生活の形が乱れるからです。乱れ方は、起きる時間がバラバラになる、食事の回数が減る、外に出なくなる、の3段階。だいたい3日目の起床から始まります。

  • 起きる時間だけ固定する。寝る時間は自由にしてよい
  • 1日1回、外に出る理由を先に作る。食材は1日分ずつ買う
  • 中日に予約の要る予定を入れて休みを前半と後半に割り、帰省を挟むなら戻った翌日は捨て日にする

9日分の予定を作らなくていいと分かると、連休は前ほど重くなくなります。埋めるのをやめて、乱れる場所だけ止める。それで足ります。

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