単身赴任の暇が本当にきついのは、休日ではありません。平日の夜です。時間は空いている。やりたいことのリストもある。それでも指が動かない。
結論から言います。続かないのは意志が弱いからではありません。夜のその時間には、決めるための体力が残っていないだけです。 その正体を先に書いて、そのうえで今夜21時から使える30分の作り方まで書きます。
平日の夜21時、暇つぶしリストを見ても指が動かない
私の平日は、だいたい同じ形をしていました。19時半に部屋の鍵を開ける。シャワーを浴びる。買ってきた惣菜を食べる。洗い物を済ませる。ここまでで21時です。
そこから寝るまでに、2時間半あります。
出かけるには遅い。寝るには早い。テレビをつけても内容が入ってこない。スマホを持ってベッドに寝転がる。次に時計を見ると23時を回っています。何もしていないのに、なぜか疲れている。
赴任1年目、私はこの2時間半がいちばん苦手でした。休日の暇とは、種類が違うのです。
休日には「明日は仕事だ」という終わりがあります。平日の夜には、それがありません。明日も明後日も、同じ2時間半が同じ形で戻ってきます。
しかも、対策を打っても続きませんでした。
- 趣味にしようと道具を買った。3回使って押し入れに入れた
- オンライン講座を申し込んだ。第2章で止まっている
- 毎晩30分歩くと決めた。雨の日に一度休んで、そのまま終わった
3つとも、始めた日にはやる気がありました。足りなかったのは、やる気ではなかったということです。
続かないのは意志ではない。夜の「決める体力」が尽きている
平日の夜に動けない理由は、時間が足りないからではありません。「今から何をするか」を決める作業そのものが、その時間帯には重すぎるのです。
思い返すと、私が夜に止まっていたのは、いつも同じ場所でした。何かを始める手前ではなく、何を始めるかを選ぶところです。
日中、仕事では小さな判断を延々と続けています。この件は誰に回すか。この返信は今日か明日か。この数字は合っているか。一つひとつは軽いのですが、数が多い。
判断を重ねると決める力が落ちていく現象は、一般に「決定疲れ」と呼ばれているようです。私の実感とも合います。
だから夜に「暇つぶしリスト10選」を開くと、逆のことが起きます。選択肢が増えたぶん、決める作業が重くなる。10個眺めて、1つも選べずスマホに戻る。
動画やSNSに手が伸びるのは、あれが唯一「決めなくていい」からだと思います。
暇なのではない。決める体力が、その時間には残っていないだけだ。
打つ手はひとつです。選択肢を増やすのをやめて、決めなくても手が動く形にする。
そして、ここを直すと効きが大きい。休日は週に2回ですが、平日の夜は週に5回来ます。「今日も何もしなかった」という感覚が、5倍の頻度で積み上がる。
単身赴任がじわじわ重くなるのは、この毎晩の小さな失点のほうだと感じています。週5回のほうを直すのだから、休日を充実させるより手応えが早い。
21時からの30分を「決めない」で回す4つの手順
前提を3つ置きます。
- 30分だけにする(2時間半を埋めようとしない)
- その場で決めない(決める作業を夜から追い出す)
- やらない日があっても終わりにしない
手順1:今夜の分は、いま部屋にあるもので済ませる
今夜は、準備が要るものを選びません。買い物も申し込みもいらないものだけにします。読みかけの本。5分で終わる場所の片づけ。家族への連絡。外に出て20分歩く。この中からひとつ、今、選んでください。
選ぶのは今の1回だけです。この記事を読んでいる今は、まだ判断が動いています。ここで決めてしまえば、今夜の「決める作業」は終わります。
手順2:明日からは、曜日で決め打ちにする
毎晩考えるのをやめます。曜日に1つずつ割り振ってしまいます。私の場合はこうでした。
| 曜日 | やること |
|---|---|
| 月 | 部屋のどこか1か所だけ片づける |
| 火 | 本かオーディオブックを30分 |
| 水 | 買い物、ついでに20分歩く |
| 木 | 家族に電話かメッセージ |
| 金 | 何もしなくていい日(映画でも動画でも可) |
内容の良し悪しは、ここでは問いません。狙いは別のところにあります。火曜の夜に「何をするか」を考えなくてよくなることです。曜日を見れば決まっている。判断のコストがゼロになります。
割り振る作業も、夜にはやらないでください。明日の朝でも昼休みでもかまいません。頭が動く時間に5分で決めます。
手順3:着手までの手数を、昼のうちに減らす
夜に手が止まるのは、着手の直前でした。本が棚の奥にある。ウェアが畳んで仕舞ってある。アプリを開いて続きを探さないといけない。この一手間が、夜には壁になります。
だから準備は昼に前借りします。読む本はテーブルに出しておく。歩く日の服は椅子にかけておく。講座は次の章まで開いておく。夜の自分に渡すのは「触るだけ」の状態です。
この「触るだけ」を作るなら、耳で聴くものは相性がいいはずです。手に何も持たなくていい。部屋が片づいていなくても始められます。
昼のうちにアプリを入れて、聴く1冊を落としておく。夜にやることは、再生を押すだけになります。30日間の無料体験があるので、まず合うかどうかだけ試せます。
片づけの話ではありません。判断を昼に前借りする作業です。
手順4:30分で切る。週2回できたら合格
続かない原因の多くは、初日にあります。初日に2時間やると、翌日のハードルが2時間になります。だから30分で切ります。少し物足りないところで終えたほうが、翌日に戻りやすい。
頻度は週2回で足ります。私も3年間、平均すれば週2〜3回でした。「毎日やる」を目標にすると、1回できなかった日に全部が終わります。曜日割りの利点はここです。月曜を飛ばしても、火曜は独立して立っています。
それでも動けない夜の、最後の1手
曜日で決めても、準備をしても、動けない夜は来ます。仕事で嫌なことがあった日。体が重い日。雨の日。
そういう夜のために、最低ラインを1つ決めておきます。これだけやれば今日は合格、という線です。
私の最低ラインは「玄関の外に出る。そのまま戻ってもいい」でした。実際に出てみると、たいてい5分は歩きました。歩かなくても、外に出た事実だけ残ればその日は合格です。
線の内容は何でもかまいませんが、条件が2つあります。準備がいらないこと。1分で終わること。ストレッチを1回。明日着る服を出す。窓を開けて深呼吸を3回。このくらいで十分です。
これがあると、動けなかった夜の意味が変わります。「失敗した夜」ではなく「最低ラインで凌いだ夜」になる。
単身赴任の暇で削られるのは、暇そのものより、暇に負けたという感覚のほうだと思います。 そこが守れていれば、翌日は普通に動けます。
まとめ|週5回のほうを直す
- 夜に動けないのは、意志ではなく決める体力が尽きているから
- 打つ手は、選択肢を増やすことではなく、決めなくていい形にすること
- 今夜はいま部屋にあるもので済ませ、明日からは曜日で決め打ちにする
- 準備は昼に前借りし、30分で切る。目標は毎日ではなく週2回
- 動けない夜は1分の最低ラインで凌ぐ
暇つぶしの方法をいくら集めても平日の夜が変わらなかったのは、集め方が悪かったからではないと思います。夜の自分に選ばせていたからです。選ばせるのをやめると、同じリストが動き出します。
次に読むなら、こちらへ。
- 休日の過ごし方を知りたい方 → 休日が暇すぎてつらい人向けの10の方法
- そもそもなぜ暇になるのかを知りたい方 → 単身赴任は「暇」——その正体
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