全5回にわたってお届けしてきたこのシリーズも、今回が最終回です。第1回で酒量が増える理由、第2回で環境を変える工夫、第3回で休肝日のルール化、第4回で飲み会と家計の話を扱ってきました。
最終回となる今回は、シリーズの中でも最も慎重に扱いたいテーマ、「健康診断で数値の指摘があったとき、どうするか」について解説します。
「まだ大丈夫」と受け流していないか
健康診断で、肝機能の数値(γ-GTP、AST、ALTなど)や中性脂肪の数値に指摘が入ることがあります。多くの人は、この結果を見て「まだ大丈夫」「今年はたまたま数値が悪かっただけ」と受け流してしまいがちです。
しかし、健康診断の数値は、日々の生活習慣が結果として表れているものです。特に飲酒が関係する数値の指摘は、体からの具体的なサインです。「まだ症状がないから大丈夫」ではなく、「症状が出る前に見直せるタイミングが来た」と捉え直すことが、この回で伝えたい最初のポイントです。
まず、産業医や医療機関に相談する
健康診断で指摘を受けたら、自己判断で様子を見るのではなく、まずは産業医や医療機関に相談することをおすすめします。会社に産業医が在籍している場合、健康診断の結果をもとに面談を受けられる制度が用意されていることが一般的です。単身赴任者は、こうした社内の相談窓口を見落としがちですが、まずは活用できる制度がないか確認してみましょう。
自己判断で「お酒を減らせば大丈夫だろう」と一人で解決しようとすることは、必ずしも悪いことではありません。しかし、数値の意味や、今後どう経過を見ていくべきかは、専門家の判断を仰ぐべき領域です。放置せず、早めに相談する姿勢が何より大切です。
注意したいサイン
健康診断の数値以外にも、日常の中で注意しておきたいサインがあります。以下のような状態に心当たりがある場合は、意志の力だけで解決しようとせず、専門的なサポートを検討する価値があります。
- 飲まない日に落ち着かない:お酒がないと気持ちが落ち着かない、そわそわしてしまう
- 記憶が飛ぶことがある:飲んでいる途中や、飲んだ後の記憶が一部抜け落ちていることがある
- 量が増え続けている:以前と同じ満足感を得るために、必要な量が徐々に増えてきている
- やめようとしてやめられない:「今日はやめよう」「量を減らそう」と思っても、実行できないことが続く
ここで強調しておきたいのは、こうした状態は「意志が弱いから」起きているのではない、ということです。これは医学的に理解され、専門的な支援が有効とされている領域の問題です。自分を責める必要はまったくありません。むしろ、こうしたサインに気づけたこと自体が、次の一歩につながる重要な気づきです。
相談先を知っておく
いざというときに、どこに相談すればよいかわからないという状態を避けるため、あらかじめ相談先を知っておきましょう。
かかりつけ医
まずは、日頃から診てもらっているかかりつけ医に相談するのが、最も身近な選択肢です。健康診断の結果を持参し、数値の意味や今後の生活習慣について相談してみましょう。
自治体の保健センター
多くの自治体には、健康相談を受け付ける保健センターがあります。飲酒に関する相談窓口を設けている自治体もあり、無料で相談できることが一般的です。赴任先の自治体にどのような窓口があるか、一度調べておくとよいでしょう。
精神保健福祉センター
飲酒の習慣そのものに向き合う必要がある場合は、都道府県・政令指定都市が設置している精神保健福祉センターも相談先の一つです。専門知識を持つ相談員が対応しており、必要に応じて医療機関の紹介も受けられます。
専門外来
アルコール依存症を含む、飲酒に関する専門的な診療を行う医療機関(アルコール専門外来など)もあります。かかりつけ医や保健センターに相談することで、適切な専門機関を紹介してもらえることもあります。
(PR)通院の時間が取りにくい場合は、オンラインで相談できる窓口も選択肢に加えられます。国家資格を持つ心理師によるオンラインカウンセリング「Kimochi」なら、スマートフォンから相談を始められます。
単身赴任は、不調に誰も気づかない環境だからこそ
このシリーズを通じて繰り返し触れてきたように、単身赴任は、家族と暮らしているときとは違い、体調や生活習慣の変化に誰も気づいてくれない環境です。飲酒量が増えていっても、それを指摘してくれる人がそばにいません。だからこそ、変化に気づけるのは、多くの場合、自分自身か、健康診断の数値だけです。
不調のサインに気づいたとき、それを一人で抱え込まず、早めに手を挙げることには大きな意味があります。相談することは、弱さの表れではなく、自分の健康と生活を守るための、主体的な行動です。健康診断の数値も、日々の小さなサインも、見て見ぬふりをせず、早めに専門家とつながる一歩を踏み出してみてください。
まとめ:早めに手を挙げることが、自分を守る
- 健康診断の数値は生活習慣の結果であり、指摘は見直しの機会と捉える
- 自己判断で放置せず、まずは産業医や医療機関に相談する
- 「飲まない日に落ち着かない」「記憶が飛ぶ」「量が増え続けている」「やめようとしてやめられない」といったサインは、意志の問題ではなく医学的な支援が有効な領域である
- 相談先には、かかりつけ医、自治体の保健センター、精神保健福祉センター、専門外来がある
- 単身赴任は不調に誰も気づかない環境だからこそ、自分で早めに手を挙げることが大切
シリーズ全体の振り返り
全5回を通じて、単身赴任者と晩酌の付き合い方を解説してきました。
- 第1回:単身赴任で酒量が増える4つの理由と、純アルコール量による現状把握
- 第2回:意志ではなく環境を変える、家に酒を置かない仕組み
- 第3回:休肝日を曜日固定し、ルール化して続ける習慣
- 第4回:飲み会での無理をしない飲み方と、家計への影響
- 第5回(今回):健康診断のサインと、専門機関への相談
お酒は、単身赴任生活の中で、疲れを癒し、人との縁をつなぐ役割を果たしてくれる存在でもあります。だからこそ、無理に断つのではなく、自分の心身と長く付き合っていけるような、無理のない距離感を見つけていただければと思います。
このブログ「単身赴任.com」では、単身赴任生活の健康管理に関するヒントを発信しています。他の記事もぜひご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の判断に代わるものではありません。健康診断の数値や飲酒に関して不安がある場合は、自己判断せず、かかりつけ医や専門機関にご相談ください。


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